一般質問#7③国の方針に起因する問題とインクルーシブ教育とフルインクルーシブ教育、大阪の例 

一般質問の話題を②まで書いてメールやメッセージ等の反響があったので、今日は続きではなく余談です。どうも有り難うございました。 ところで「特別支援学校」と「特別支援学級」は違います。今回は後者の話(小中学校の中に設けられている特別なクラス(=学級))の話をしています。

質問の準備段階では、大阪府でハンディキャップがある子を「特別支援学級」と分けずに共に学ぶ”本当の”インクルーシブ教育を実践している豊中市立南桜塚小学校の話を伺っていました。

↑の写真の右側のイラストの状態を実践している学校です。(イラストは朝日新聞の記事から)

↑一つは、隣の大井町にてNPO法人にないて主催による学習会で、上記の南桜塚小学校に視察に訪れた介護福祉士さんから豊富な映像とともに。もう一つは世田谷区長の保坂展人氏の全5回の政治スクール第1回目で、ゲスト参加していた「定期テストを無くした校長先生」とか「夢みる学校」の一例になっている学校の校長先生として知られる西郷孝彦先生の話を伺っていました。

国や、その方針に従う多くの自治体にとって、インクルーシブ教育= 「授業によって所属するクラスではなく、『特別支援学級』に通い、個々に適した学び支援を受ける」というやり方。開成町もそうです。

南桜塚小学校は、それはインクルーシブ教育ではないという国際基準と同じ考え方なので、あえて自分達のやり方を区別して「フルインクルーシブ教育」「原学級方式」という言い方をしています。 ➡ 南桜塚小の普段の様子と、国と対になっていることが分かり易い記事。

要(かなめ)となるのは、どれだけ丁寧に学童期に入る前に一人一人に合わせた学びを追求し、園から学校に引き継げるか、ということでした。 南桜塚小の生徒達が、他の多くの学校が「特別支援学級」を設け、授業によっては別々にさせていることを知りとても驚いていました。「学校でそれだけ別々だったら、その後交わることはとても少ない。(社会の仕組みを含め、良い友達にまで発展しない関係性だから、と聞こえた)一緒にいないと障がいやその子のことをよく知ることができない。学校では一緒にいたほうがいい」という考えを子供が言っていました。

西郷先生の話では「10年前までは、『日本の教育が素晴らしいからこんなに経済成長している』と世界が言ってくれたが、昔の成功にとらわれ過ぎて、変化の糸口を失っている。変化が必要だと気付いてはいるのに。親達の少しの働きかけで変わる可能性はある。」 という言葉に納得しました。

なぜ日本はインクルーシブ教育が進まないのか

国の方針を決めている中枢の役人たちに差別意識、エリート意識があるからだと思います。

また予算を増やしたくないというのも感じます。実際、国に対してそういう指摘があります。 そして国の方針に県が従い、県の方針に市町村の公立学校が従うかたちです。 公立学校は、正規教員の数やその人件費を県に握られています。  ←でも書いたけど、児童は最大35人まで正規教員一人。各市町村が独自にスクールカウンセラーや支援員(補助員)を加配している場合は、自主財源です。➡教員が足りないことと国の予算のかけ方について問題があることが分かる記事

あと、を書きながら思いましたが、島国の日本は、移民が多い国と比べると当然ながら多様性が少ないです。「例外」が浮きすぎて異質の目で見がちです。 そんな35人学級で支援員も非正規アルバイトで心もとないなかでは、支援が必要なお子さんや親御さんも不安だと思います。 だから進んで特別支援学級を望むケースも当然あります。

多様性が少ないなかで「困っている人がいたら助けよう」以上に「人に迷惑をかけないように」という集団行動における心構えが強くはびこっているように思います。そういう社会では自分が何か間違えるのが怖いし、例外的に目立ったり手をかけられている存在は価値観に反します。

さらにテストで良い点を取るのが良し、というなかでは「勉強の邪魔をするな」に繋がりやすいと思います。 この根強い習慣が変わらない限り難しいと思う。 論理的思考を育むのだったら自分の常識を疑うような存在がいて良いはずだし、差別のない社会性を身につけるなら、双方にとって一緒に成長するほうが良いはずです。 ※多動やパニックを落ち着かせるためのリングやベストまで開発されていて、他国の学校によっては公費で持っている。

大阪は進んでいるらしい?ご感想で届いた話など。

この辺り(神奈川県西部)では箱根町が自主財源からスクールソーシャルワーカーを雇うなど福祉と繋がりやすい相談体制を整えてられていると聞きます。(他の自治体は県費のため、巡回形式で月に1,2度しか学校に来ない)

箱根は歴史的に温泉街に住み込みで働く女性達が多く、割合的にシングルマザーも多く、そうした保護者達の声というのが比較的大きかったからだと言える…と伺いました。

また上記の南桜塚小学校は大阪ですが、人情に厚いイメージがあります。 大阪の公立中学校の特別支援学級で働いていたという友人の話を聴くことができました。

当時、若手職員の彼女と、ベテランの体育教師と音楽教師と3人体制で入っていたとのこと。ここからもう違います。今、学校現場で聞く話はこのようなチーム制ではなく担任制です。(担任+非正規の補助員) この体育教師が生活指導主任を務めており生徒からの信頼も厚かったため、彼が担当する特別支援クラスの生徒達をからかうような子はいなかったとのこと。 人員選択に配慮が見られます。 また、特別支援学級に通わせている親御さんの孤立感を和らげたりじっくり話を聴けるような、親御さんと担当教員たちの交流会も年一回あったそうな。 そういう視点、温かいですね。

変えにくい条件下で出来ることは・・・

開成町の学校の場合、35人学級は国が変わらないと変えようがないのかもしれません。 でも人選のほか、学校・行政・地域で協力して保護者達の声も直に聴く機会を改めて設けること(上記にあげたアイテムの利用の可能性なども含め)、担任制の改善、また大人達の考え方をシフトしての差別意識の解消・・・と、出来ることはあると思います。

とくに担任制の改善は、ベテラン教員が特別支援学級に入らないと課題や改善策が見えにくいと思う。 ←ここまでは一般質問で伝えた…。 ただ教師不足という問題があるから、まずは多忙過ぎるイメージを変えるための「開成町や足柄地域の学校で教師になるっていいよ、素晴らしい職業だよ」というアピールでしょうか。

卒業式の体育館に並べた卒業生達の「将来の夢」がバラエティに富む中、「学校の先生」が無かったのは大人はみんな危機感を持ったほうがいいと思います。(「政治家」も無かった)

次は町長に求めた話に続く。