地方自治専門誌「自治日報」に寄稿文掲載。「自治会長から町議員へ」

以前に掲載文を紹介して以来、久し振りにSNS「Pinterest」を更新しました。 電子版スクラップブックとして使っています。 

まだ議員になって二カ月も経っていないというのに、旧友からの紹介があり議員として地方自治専門誌に寄稿するという稀有な機会に恵まれました。 自治日報 という全4面の新聞のような紙面です。 議員としては経験が浅すぎるのはもう仕方ないので、編集者さんのアドバイスもあり、直前まで自治会長だった立場からの目線で書かせていただきました。(町議会の宣伝にならず申し訳ないです) 初めて知った専門誌ですが、全国議会ウォッチャーとも言えるような勉強になる記事が集まっています。良い機会になり友人にも編集者にも感謝💐

注!専門誌なので文中での説明を省いて使っている専門用語に「補完性の原理」というものがあります。↓分かり易い説明は愛知県の地方分権についてのページから抜粋。

『「補完性の原理」の仕組みを分かりやすく言えば、次のようになる。
①個人でできることは個人で解決する(自助)。
②個人でできないときは、まず家庭がサポートする(同)。
③家庭で解決できないときは、地域、あるいはNPO(民間非営利団
体)がサポートする(互助・共助)。
④①~③で、どうしても解決できない問題について、はじめて自治体や県、政府
が問題解決に乗り出す(公助)』

・・・国が勧める地方分権社会の基本とされる原則です。

「自治日報」6/19発行3面<議会>本文

※編集ご担当者より掲載許可を頂いています。 ※先に言い訳しておくと…私がいる開成町の自治会担当課は、自治会の意見が「自治会要望」という紙面で届いたものは特にきちんと対応してくださっています。議員と比べての一般的な傾向を考えて書いています。 プロの書き手ではない、結論まで粗削りな文章です。

タイトル「現役世代で自治会長を経験してから議員へ」

私の自治会長就任は、町史初の女性会長かつ現役子育て世代ということで、その他の全
員が当然のように 6,70 代の男性である中、とても際立っていた。そこから注目され、町議会議
員に推薦されたという背景がある。
4月に初当選してからひと月半が経過した。活動範囲は自治会長の一地区から町全体とな
り、また自治会では否が応でも月に数回の集会で住民から様々な声を浴びていたものだが、議員は自ら地域の声を集めるために現場調査に赴いたり、報告会を設けたりする必要がある。
それらの違いを認識しつつも、会議や勉強のため机に向かう時間が増えている現状が、現
場を思うように巡れていないという焦りを生んでいる今日この頃だ。

住民に寄り添い地方自治を支える役
地方議員と同様、自治会役員についても成り手不足が深刻だ。生活様式の多様化と不景
気の波は、定年退職後の「自治会役員となって地域に恩返し」という選択肢の影を薄めている。
少子高齢化も手伝って、婦人会と子ども会の廃止や加入世帯数低下など、従来の自治
会機能は低下し組織基盤は脆くなっている。一方で、とくにコロナ禍から高齢世帯の孤立を防
ぐための見守りや地域コミュニティの場作りについて、自治会は更なる具体な動きを期待され
ているというのに。
自治会長選出に数か月も費やし候補者への説得を続けることが普通、という感覚からす
ると、議会議長に複数の立候補者が出て選挙で決めるというのは、恵まれている話のように
聞こえる。 「地域の為」という大義名分は同じ、また同じ「長」ではあるのに、自治会長への評
価と対価は、求められている業務に比べると随分低いのだと改めて認めざるを得ない。
それでも私は議員に立候補するにあたり自治会長の経験を大いにアピールした。自治会
が担う行政サービスの隙間や自治会組織の疲弊に頭を悩ませ、地域課題の危機感を日々噛
みしめていた。そこで得た経験や人脈は、今後の議員活動の大きな糧になると確信している。

公約は地域包括的であることを強調したい
「議員になったら一地区ではなく町全体が活動範囲」という認識で町内各地区を巡っていた
選挙活動時、居住地と異なる区域を回ると「自分の地域から立候補者がいるならその人を応
援する」という住民が未だに多い現実があった。議員一人一人が掲げる公約に加え、社会構
成上では本来「地域代表」である自治会長の役割が、一体どれだけ軽んじられているのかと
思った。
だが考えてみれば、自治会長は行政連絡員として地域住民が問題とする物事を行政に伝
えるまでが任務なので、そこで課題は停滞しがちだ。そのため身近で話やすい議員

に、討議が公になる議場において地元の声を代弁してもらいたい、という住民側の気持ちは
理解できる。 過去には平成の大合併で議員空白区が増え、住民が民意反映の懸念を抱い
ているという全国的な報道もあった。
本来は、議員は地域からではなく、その人の立場や考え(公約)により選出されるのが理想
であり、結果として議員達それぞれの居住地域がばらけるということだと思う。その方向性を
生むためには、議員が根拠ある公約を掲げ、足を使い、個人としても広く興味関心を持ってもら
うことが必要だ。
地域の意見が届かないという心配が根強いのなら、既存のものの価値を見出し活用する
エコの考えで、自治会ごとに収集した要望を議会も共有したらどうだろうか。行政だけでなく、
議員が各々の得意分野で対応するとなれば、自治会加入の意義も高まる。
そうした地道に地域課題を紐解く活動が、住民―行政―議会を結ぶ自治体の芯を強化す
るだろう。首長と議会で合議した行政サービスの十分なサポートを住民が信頼し、安心感を
得るという前提があって初めて、社会のなかで「補完性の原理」の先端である自助、そして自
治会などで地域の協働作業を充実させる共助の精神が育まれ、さらに公助という強固な層が
築かれるのだと思う。

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お読みいただいた方、誠にありがとうございました💐  

かんたんに解説・・・ 公約から選ぶことについて、たとえば農家出身の議員は自然と農業や農村地域に関することの議題を持ち、シングルマザーの議員だったら福祉、子育て面についての公約があるのではと思います。 

自分の地域から出れば盛り上がって楽しい!という生活の活力になるのもよく分かります。でも立候補者の立場や性別に多様性があれば、公約選びも面白くなるのでは。 候補者の公約や人となりに個性があり、また有権者側が真剣に自分の生活や自治体に必要なこと/足りないことは何かと考えれば、「うちの地区の○○さんちの息子だから」だけでは決まらないですよね。 そんなことも込めて書いてみました。 あと、自治会長へのエールなど。🚩