消防団つづき:「開成町消防組織強化推進連絡協議会意見交換会」資料とデータから読み取れる傾向

前回「日頃は冴えないサラリーマンが…」同様、消防団に関する話です。

写真は、開成町の消防団員募集チラシ。 上手だけど一昔前の人物イラストのような・・・。「なぜ?」という印象を強く持つのは、開成町はいつも統一感ある広報紙だし、公的なHPも洗練されて見易く、どことなく可愛げがあるデザインです。  そういう目線で見ると、「消防団員募集」については消防団に丸投げされているか町の方向性からは置き去りにされているような印象を受けます。

いかつい女性。 

消防団員募集で意見交換会を先月中旬に行いました。 町内の各団長、副団長、そして各自治会長と自治会防災部長が出席しました。 うちの自治会だけ会長も防災部長も女性です。 約50名の参加者のうち女性2人は、さすがに違和感がありました。 (町の消防団に女性ゼロ ※後述、翌月9月に一人の女性が入団されました) 

夏休みや防災訓練を控えている時期なので、関心を高めるには好機といえます。 しかし町から8月広報日に向けた回覧等の要請はありませんでした。 担当課に言えば貰えるはずですが、時間がないので仕方なく当自治会では私の手持ちの資料から印刷しました。  別の新興地の自治会もわざわざオリジナル募集チラシを作成しています。 良いものは一つの自治会止まりにしていたらもったいない。 

7つの分団のうち5つは欠員が出ているので、関心を高めるためにも、特に欠員がある地域には町主導で募集チラシを更新・発行したら良いと思います。 消防団員は本業が別にあるし。(※後述、翌々月11月広報に町から写真の「消防団員募集」が、各自治会へ回覧資料として提供されました)

データから見る周辺地域の消防団概況

全国的な消防団に関するデータは総務省の資料にあります。 表題の長い名前の会議でもらった手元の資料にはこの地域2市5町のデータがあります。 それによると、すべての市町で欠員が出ています。 全国平均は定員の88%。 開成町はそれより低く83%。 南足柄市と大井町が更に低くて共に74%。 小田原市と中井町は平均より大幅に高くて共に97%。 

小田原市が高いのは地域性の他、女性団員募集に力を入れているのと、入団時の年齢上限を撤廃していることと思われます。平均年齢が突出して高いです。(南足柄市も年齢上限撤廃してるけど)

また、中井町が高いのは、入団時の年齢上限はあるものの、町内在住者だけでなく在勤者も対象にしている点があります。 自治体から会社への働きかけがあるのかな? 昼間の有事は、他地域に勤めに出て行っている在住者より町の在勤者も頼りになりそうです。 (ちなみに、南足柄市も市内在勤者を対象にしていますが…)

ところでこの辺りでは熱海市の大規模土石流が、ずさんな盛り土による工事が原因として全国ニュースになりました。そんな静岡県熱海市で、消防団は活躍しただろうなと思いました。 調べてみると熱海市全体の充足率は87%。 

小田原や横浜など「商人の町」印象がある地域が突出している以外は、神奈川県は静岡県よりも全国平均よりも、充足率は低いです。 例えば熱海(87%女性15名)に比べ、隣の神奈川県湯河原市に移ると80%に下がり女性ゼロ。 他の県境でも同様です。 しかも、人口10万人当たりの団員数が静岡県は500人近い設定になっていますが神奈川県は200人に満たない。 

データが意味することと、すぐ出来ることは

団員にならない理由には、いまどき、仕事が忙しくて日曜は休みたいのに、朝から訓練なんかしてられん!というのが多いかな。 親戚近所からの圧力も概して田舎より都会の方が少ないでしょうし。 ここの解決方法は会社による面があるので難しい。 地域ボランティアを評価するような会社が増えるといいと思います。 

((・・・ところで消防団員の組織は古くからありますが、その形態が日本独自の時代遅れな組織なわけではありません。 (内容が時代に即してないなら、女性団員が2割もいる横浜の活動内容や広報アピール方法を参考にすると良いと思う) 消防団自体は、欧米の先進国でも当たり前に地域に根差している、有償ボランティア活動です。ドイツ在住のときは、消防団員が朝の地域巡回を清掃車に乗ってしていたのもあり、よく見かけていました。 ))

人口当たりの団員が低い上に欠員率も高いことが何を意味するのか。 

消防団員が少ない・ますます減少傾向にあるということは、消防団に関する知識や関心、またご近所さんが仕事の傍ら、定期的に訓練に通い地域防災のプロになっているという認識の度合いもますます低くなるということです。 

「税金払ってるのだから、24時間常駐の公務員に託せばいいではないか?」 という意識になりがち。 有事の際は共助を飛び越えた公助を期待し、それだけだともちろん行き届かないので、不満続出という現場になります。 

消防団の皆さんのボランティア精神と訓練の成果はもっと公になって良いし、平均年齢45歳という神奈川県の現状では若者に向けたアピールが必要。それこそ、18歳で成人です!と同等に、成人式の案内や高校の進路資料と共に。 

横浜市は学生消防団員も女性消防団員も割合が多い
いろんな人がいる…に加えて「ん?報酬額引き上げ?」検索したくなる工夫も。

18歳で男女関係なく、上司と部下の関係とは違う、他の大人達と同等に地域を守る一員になれるのです。 会社の繋がりだけではない、異業者の人たちとの協働作業は防災目的以外に得るものが多そうです。 

ギャップイヤーも無い、希薄な人間関係とエスカレート形式に弊害が出ている日本では、仕事と両立できるし近場で出来るボランティアとして、内容からよく見直されたら良い慣習だと思います。