神社で、レゴランドで、小田急で、来訪者を巻き込む工夫を観光地勤め目線で見る

写真は大山登山したときのもので、風情ある山奥の集落の先にある、登山道に入る手前の「コマ参道」で撮ったものです。 (片道だけ子供が喜ぶケーブルカー乗ってみました) コマ参道にはコマが描かれたタイルがあって、左右には土産屋がズラリ! 写真のような階段の踊り場が、次々と続きます。

コロナ禍(夏の終わり)だったので、まだガランとしています。緊急事態宣言明け以降は紅葉シーズンを迎え賑わいがかなり戻ったとのこと

名物の一つ、郷土玩具の大山コマは江戸時代からの歴史があるそうです。 我が家にも大人の拳大の古い物があります。(実家から子供がもらって来たらしい。紐で上手に回す!) 

明るい配色で描かれた大山コマのタイルが階段を上るごとに現れるので、子ども達は喜んで「またあったー!今度は大きいのが〇個だから・・・」と足し算遊びを始めてました。 

実際には大きいコマを10、小さいコマを1と数え、合わせた数が踊り場の数を表しているそうですが、とにかく長い階段(362段!)を子供達が疲れも見せずにひょいひょいと登るモチベーションになっていました。  

ただ単に階段を上らせるより、工夫があって助かりました。 それに加えて子供から大人までに「大山こま」はしっかり認知され、お土産や関連行事への関心へと繋がるほどのタイル効果です。✨

至る所に地蔵がある山道はまさに「参道」。(写真のは、伊勢原市観光協会の大山案内によると「子育て地蔵」)頂上の阿夫利神社といい、山岳信仰の文化が色濃い、子ども達には斬新に映った山。 頂上の露店にあるお餅が美味しかった♩ 

昔からある「遊び」は、御朱印集め…森ではウォークラリーとか。

こうした、その場所をより楽しめるようにする工夫には、 日本の文化とも言える御朱印集めがあるなぁと気付きました。 一か所だけより同類施設で同じ取組みをして、互いにより多くの観光客を巻き込むような工夫です。 

巡って得るものには、ご当地スタンプも根強い人気ですが、筆書きの御朱印には格が違う風情があります。  神社事という限定的な場所を巡り集めるので、点と点を線で繋げ、相乗効果を上げる工夫とも言えます。

神社を参拝してもらえる御朱印集めが近年、ブームになっていました。 ポイントは体験を伴うことと、何歳でも、一人でもよいことです。 そして交通や宿、様々なデザインの御朱印帳といった、多方向の利益に波及していくことも。 

ブームを後追いして、戦国武将人気にあやかった全国の城巡りを促す御城印(ごじょういん)集めなるものも90年代から出来ているらしい。 ➡県で公式に乗っかってる千葉県の城リストと御城印一覧(千葉県公式観光サイト)はなかなか壮観  どちらもSNS映えするしネットで仲間を見つけやすそうですが、比べると、御朱印帳は一冊の自分だけのノートが出来るのが特別感があっていいかな。

その場所をより集中して楽しめる工夫として、私が覚えているのはどこかのハイキングロードにあった立て札です。 

森の景観を損なわない、木材で作られた立て札に蓋があって、その蓋に「この鳥が食べる虫はどれでしょう?」などクイズが書いてあります。 蓋をあけると答えが書いてありました。 

自然のでこぼこ道や木の実で遊ぶだけでなく、そこの山に関するちょっとしたクイズもあって、一つの広い森を巡ったという充実感がありました。 

南足柄のふれあいの森にもありますね。 子ども達は山で遊びつつ夢中でウォ―クラリーに取り組んでいました。 

(この小さな町、開成町も何か出来るんじゃないかな?と思いながらブログ「小さい町だからこそ。~」の公園看板について一例として書いたことがありました。 )

美術館、博物館はそういう工夫が豊富。小田急も導入しているタカラッシュなど。

上記の立て札といった案内版の工夫は、博物館などの展示に多種多様な形態が見られますが・・・ 

展示に工夫を凝らすだけでなく、最近は一人ひとりが御朱印帳を持っているように、一人ひとりにワークブックを渡す例が見られます。 

企画展など作品を借りたり展示を新設したり、ポスターを作り直すのは経費がかかりますからね。

ハード面を変えることなく、館内・敷地内をじっくり巡れば分かる問いを解いて自分だけのノートを完成させるので、「美術館なんてサーッと早足で歩いて終わり。二度と来ない」ということを防ぐのです。 

子ども~若者利用が多いですが、以下に書くタカラッシュには幅広い年齢層の固定ファンがいて、それがあるだけで訪問のきっかけになっています。

絵本を読んでから行くと見る目が変わる「星の王子さまミュージアム」には、娘も夢中になれる無料の幼児向けワークブックがありました。 ここは本当はそんなに広くないのに、しっかり数時間を過ごせた!(素敵なカフェでの時間を含む) 要所要所で、スタンプを押してページの絵を完成させたり、天井画の鳥の数を数えて数字を書き込んだり。 高学年向けもありました。 
楽しい記憶は、将来また来るきっかけになるでしょう。そのとき、この世界観や花々、箱根の景色などを違う目線で眺められるかな?

事業としてリードしているのは、敷地内の展示物や景色から、全くのオリジナルストーリーを作ってしまうタカラッシュ。 私が勤める美術館なども楽しみ方の一つとして、また小田急も導入しています。➡小田急のタカラッシュ「小田急サスペンス劇場」※期間限定。

開成駅を含め、電車に乗って様々な駅を降りては、その周辺にある目的地を実際に見て、問いの答えや暗号を解いて、また次の目的地へと去っていく。 完全なる創作ストーリーなので、リアルに行う現代的なゲームみたいな感覚でしょうか?

一定期間が過ぎたら、また新たなストーリー・巡るポイントも変わるのでリピーターが出来ます。

今のか前回のストーリーの目的地の一つに、開成駅前ロンちゃん公園のロンちゃん(ロマンスカー)がありました。 

たまにロマンスカー前で難しい顔をして専用ノートに何やら書込みをしている子供から大人を目にしていました。 (ピンと来たので、話しかけて見せてもらったことがあります。 その男子学生と父親は新宿から来たとのこと!)

もはや電車は移動手段だけではない! 小田急はいろいろ果敢に取り組んでいますね。 何にせよ、興味を持つきっかけ、再度訪れるきっかけを作る仕掛けということです。 

一つの場所でテーマ性を持たせた非日常を演出して、独自性で呼び込む・巻き込む。

明らかな人口減に進む中、参観料、入城料、入館料などを上げずに利益をキープする手段として、一人の来訪回数を増やすよう仕向けたり、SNS発信で多数に営業してもらうための工夫が観光地では重みを増しています。

テーマがあれば、一つの場所を、施設内、町内、国内・・・、と規模を変えて捉えることもできます。 

ちなみに「都会の子供達の遊び方は違うなあ・・・」としみじみしたのは、お台場のレゴランド

混雑が予想されドッと疲れそうな東京の遊び場に、運動会の振り替え休日に行きました。レインボーブリッジを通るバスなど、道中も施設も特別で、思い出になる東京遠足になりました。(帰り道、そのバスに一人で乗って小学校から帰宅?する児童が何人かいて、我が子達はカルチャーショック!) 

アトラクションなど、私には懐かしいドイツ・ケルン市のレゴランドを模した施設でしたが、そこかしこで現代の技術が織り込まれていました。 町並みは東京。 昼間の明るいところから、段々と暗くなり夜景も見れました。 両国国技館のお相撲さん達など、人々も緻密に表現!!

 

競争が激しい東京において、生き残りと継続的な顧客獲得を賭けて、ここでも様々な工夫が見られました。 

一つは希望すれば500円で貰える、上記で言うワークブックのような「アクティビティパック」。 壁面クイズやスタンプアラリー、QRコード先からヒントを探したり(タカラッシュもそう)LINEでクイズに答えて送信したり。

「アクティビティパック」デザインや「自分だけのもの!」という特別感・達成感も含めて、それら最新な楽しみ方が子供心をくすぐるようでした。 

どうにか巻き込んでテーマパークのように夢中にさせて、話題性アップ➡SNS発信でより多くの顧客を…というものです。 サービス内容を全部こなそうと思ったら結構忙しい。 

経験としてこういう場所を知りつつも、現代の子達には、やっぱり自然のままの環境で過ごすことにもしっかり比重を置いて、存分に遊んで欲しいと思うのですけど、ね。