9割が森林の山北町。無形文化遺産は町の風情で魅力増大

10月8日、「山北のお峰入り」を観に行きました。 丹沢の大自然や美味しい水の魅力が、昨今は秦野市にアピール負けしている感がある山北町です。 本場はこちら、というのは訪れると強く感じる、秘境感のある町。 山や川が近くの公園、古めかしいけど楽しい遊具が多い公園など、たまに子供を連れて遊びに行きます。(↓写真は県立つぶらの公園。箱根の林道のような山道を登って行った先にある。里山を前景とした富士山の眺めも素晴らしいところ。)

お峰入り 

2022年に日本全国で41もの「風流踊(ふりゅうおどり)」がユネスコ無形文化遺産に登録され、山北町で5年毎に催される「お峰入り」も認定されました。 面や衣装で着飾った人々が、集団になって太鼓や笛に合わせて踊る民俗芸能です。➡全41のご案内「無形文化遺産オンライン」

山北のお峰入りはもともとは共和地区という山間部の集落で、南北朝時代から伝承されていて、途絶えていたものを昭和9年に復活させたのだそうです。「山中で修業を行うことを意味し、修験道の儀礼が芸能化したもの」と案内にあります。 約80名の演者がおり、独特のリズムで棒を持って踊る男たちや、豊作の祈りを捧げる爺、鈴を鳴らして陽気な舞を踊る女などが次々に登場していました。 

写真は、9割山林の山北町のなか、1割の市街地にある小学校で踊りが披露されていたときのものです。 祭りは二部制で、第一部がここ車で来やすい会場です。こんなに近くで催されるなら!と有料席で子ども達と鑑賞しに行きました。 子ども達は途中で飽きて校庭の端で遊んでいまったけれど・・・。昔の日本の踊りって、短調&単調ですからね… 第二部が本来の山奥での開催となっていましたが、今年は残念ながら午後から雨天で中止となりました。 

この第二部に予定されていた山間部の会場のほうが、ずーっと趣があって魅力的に映ります。 共和地区よりさらに奥地の神明社(しんめいしゃ)。 チラシの写真はそのうっそうとした木々が背景になっています。 案内にはサラリと 「会場周辺に駐車場はありません。バスの運行もないため、徒歩(山北駅から約2時間半)にてご来場ください。」と書いていあり笑えました。 健脚の持ち主しか行けません。 次回は頑張ろうかな!!? ※普段は途中まで大野山登山道に行くバスが運行している道のようです。  

山北駅前と共和地区

「お峰入り」の日は、小学校での第一部が終わったら、駅前に並ぶ民家や、秋めいてきた庭の木の実や花々に目を奪われながら散策するように山北駅に向かいました。 演者たちが駅前通りを練り歩くのに合わせて、地元のお店が露店を出して饅頭や弁当が並んでいて賑やかでした。 

写真は、映画か何かのロケ地になりそうな、全体的にセピア色がかっている駅前。 道路や民家など、古いけどよく見れば小綺麗なところに、地元の方々の実直な人柄が表れているかのよう。 

山北の魅力は方々(ほうぼう)にあり、山間部に上って行った先の共和地区も、NPO法人「共和の森」 による自然体験教室に参加するために訪れたことがあります。 2017年春にここ開成町に越して来た年は前回のお峰入りの年だったので、スタッフの方々が「準備が大変」「貴重なものだ」「観に来れたら来て!」と興奮気味に言っていたのを覚えています。 当時はまだ情報に疎かったのですが、今年ようやく観ることができました。

NPOメンバーは地元の人たちと移住者たちが協力して、自然保護や地域活性化を目的として楽しみながら実施されていました。 今回の伝統的な祭りや、生涯学習センターで日常的に開催される数々のイベントでは地元の人たちが顔を合わせて楽しそうで、活気があります。 今や県内人口減少率ナンバーワンなど厳しい現状もありますが、足柄上郡の素朴でホッとするような魅力を牽引するキャパのある町です。     ➡もっと的確に山北の魅力が伝わる移住関連サイト「FURUSATO」  

伝統的な祭りを行えば、その町の風情とともにタイムスリップしたかのような非日常感も味わえる、そんな町。 また何かの折に訪れたいと思います。