アメリカ同時多発テロのときアメリカにいた② 情報リテラシー

彼岸の連休は後半が気持ち良い秋晴れで夜は月が綺麗でした。 充実した連休後、今日は子ども達のいない間にグッタリしていました。 

さて今日の日経新聞もCNNも、中国不動産の資金繰りによる株価下落がトップニュースでした。神奈川新聞はコロナ禍の自宅療養者情報の取り扱いについて。 ナショナルジオグラフィックはスペイン北方の伝統的なリンゴ酒と効能について。 そして当自治会の「自治会だより」は「福祉部主催の敬老のお祝い。カステラとタオル配布で喜ばれた」です。 ^^ 情報過多の時代です。

20年前当時は、

学生でも手軽に読める無料新聞(大衆向け)に「こいつが犯人だ!」とビンラディンの顔、そして「やむを得ず・・・」と決心したような戦争宣言時のブッシュ大統領のドアップ顔が掲載されていたのが印象深いです。

ただ、学生たちは自分の楽しみにも夢中ですから、戦争関連に思いを巡らすのは、そうした紙面やネットニースなどと向き合うときだけでした。

学生生活を補足しておくと、楽しく充実していました! もう会えない大事な友人達も、facebook上で元気な同級生達もいます。

気に入っていたストリートに毎週のように足を運びつつ、歴史ある壮麗な図書館で宿題することもあったし、学生パスで自由にボストン美術館その他を行き来したり、野外公園やシンフォニーホールで小澤征爾のオーケストラetc多くの生演奏を聴き、ハーバード大学やMITに遊びに行って博物館や研究所を除いたり、オノヨーコなど数々の有名人の学生向け講演を聴いたり・・・そんなボストンならではの楽しみも含めて、たくさん遊びました。^^ 

写真は前回のつづきで、タイルにモスク(イスラム教徒の礼拝堂)の名前を写しているところです。 このカリグラフィー芸術に秀でるアラビア語は、テレビや大衆紙等で得体の知れないテロ組織の恐ろしさを醸し出す演出に使われていたように思います。 

(そういえば、このときのクラスメートはトランプが大統領になったときに「世界の他の国にいる友達へ。トランプのような男が我が国の大統領になって申し訳ない」とfacebookに書いていた。)

完成したタイルを贈呈しにモスクを訪れたときには、女性はスカーフか服のフードで頭を覆うように言われました。 異教の空間に入ったので、そこの文化に敬意を表し、慣例に倣います。 モスク内は美しい幾何学模様の絵画やタイルの壁に囲まれた何もない空間でだだっ広く、時間が来ると信者の方々はめいめいが跪いてメッカの方向へお辞儀をし始めていました。 そこまでは求められなかった私たちは、お祈りが終わるまで私語は控えて、彼らを静かに見つめていました。 

そしてまた真実不明の陰謀説。

事件発生当初しばらく、何度も繰り返された中継映像をボストンの家のテレビで見ていました。 

そして浮かんだ「?」や違和感は、前回書いた戦争への道筋と同様に払拭されることは今もありません。 むしろ、自分で違和感の正体を見つけようと調べ始めると、新たな疑惑を誘発する科学者や教授らの話があり、それらがwikiにも載っている「陰謀説」 (911 Conspiracy Theories) となっています。 要は、ブッシュとビンラディンは影で繋がっており、戦争は自作自演だという話です。 

リアルタイムでテレビ見ていましたが、飛行機がぶつかった・墜落した瞬間の映像はないし、乗客被害者の膨大かつ凄惨なはずの遺品、遺体に関するもの、被害者の何倍もいる数の遺族の話などは、ヒーロー話と戦争のゴタゴタに取って変わられていてほとんど出てきませんでした。(ビル倒壊に巻き込まれた死亡者の話や、信ぴょう性があやしい話はある)

実際にCNNなどで連日アフガン戦争が報じられている状況やその内容に、我に返る人も多かったのかもしれません。 

学生の私ですら、シンプルに以下の疑問を抱きながら国営テレビを見ていました。(自室にテレビが無かったので隣室のルームメイトの部屋か、お向かいさんの後期高齢者夫婦の家でディナーを作るバイトがてら見てました。)

「最新技術の遠隔操作でタリバンを探して攻撃できると誇っていたのに、誤爆ばかりで子供を含める民間人がどれだけ死んでいるのか? これはアフガン民間人にとって、アメリカが受けたテロ行為とどう違うのか?」

「なぜアメリカが自国問題そっちのけでアフガンなど異国のことをこんなに国営放送で流すのか? なぜアメリカが他国の民主的な国造りに躍起になってるのか? 世界の国々がそれをアメリカだけにお願いしたのか?」

米国の兵もテロ組織の自爆テロなどにより現地で多数死んでいました。 そして国内では陰謀説が生まれる一方で地域によりブッシュ支持も熱狂的に上がっていました。 

神を冒涜する中絶や同性愛などは認めない、とする揺るぎない信仰心を持つ大統領。 神の恩寵とご加護を受けながら少しの(!?)犠牲を払いつつも強い意志で悪を倒しに行く超大国アメリカの大統領。 多くの国民にとっては、そんな風に立派に育ったジュニアが、テロ後の不安の中で希望の星であり心の拠り所だったのかもしれません。 

機密情報になっているだけの部分も多いそうですが「迷宮入り」している陰謀説は多くの本や映画になっており、日本でも話題になったマイケルムーア映画「華氏911」(wiki映画説明) は米国ドキュメンタリー映画で過去最高の興行収入だったとか。 他にも消防士等に焦点を当てた多数の関連映画も多く出ています。

米国の戦争宣言を容認した日本にとっても過去の話だし、どんどん真相は闇の中である方が都合が良くなっているように見えなくもない。 ご遺族が20年後の今でも真実を知りたいとプラカードを持って訴えるのが痛々しかったです。

私も普段は忘れている大事件ですが、20年目にして当時は対テロ戦争入りを承認したバイデン元議員のアフガン撤退ニュースなどあると、こうして色々と思い出します。 そして様々な角度から解説される情報を飛ばし読みして、「もうそのまま大きな歴史は進んでいる」「今のままの方がしばらくは米国と日本、どちらの政府にもいいんだろうな」 という感想に至りました。